ブックカフェBlauw frasca

トージシャ Studies ホウレンソウのライブラリーです。当事者研究に関連した本や語録を綴ります。

ユング―魂の現実性 (現代思想の冒険者たち)

河合 俊雄 著

個人的経験を超えた、人類に普遍的な無意識とは?
 「魂」の根源的(ラディカル)な自己実現の物語。

 「魂」はユングの思想を語る上で最も重要なキーワードだが、単に個人が所有している自分の心、を意味するのではない。むしろ魂の中に自分が住んでいるのであって、魂とはその中に自身が住んでいるところの世界のようなものである。しかし、魂は器みたいなものとして考えてはならず、むしろ魂のファンタジックな働きによって「現実性(リアリティー)」が生み出される。だから神聖なもの・異常なもの・合理的でないものも、魂が生み出したものである限り、ユングはあくまで「現実的(リアル)」なものとして受けとめていく。心的な現実性が、われわれに直接経験できる唯一の現実なのである。